経緯
私は人の家の本棚を見るのが好き。昔から人の家に行ったときはとりあえず本棚を覗いている*1。その人がどういうジャンルを好んでいて、自分と同じ部分があるのか…などがとても気になるんです。
そんな私が長門有希の100冊というリストを見て、心がときめかないはずがない。
「涼宮ハルヒの憂鬱」というアニメに登場する本好きのキャラクターがおすすめの100冊を選んだ…というリストらしい。とても良いリストですね。
世間話で趣味を聞かれる際にとりあえず「読書」と答えるが‘けど、どの本がおすすめなんですか? と聞かれたら1時間悩んでしまう。そんな時に自分にもリストがあれば、とりあえず絞り込んで提案することは出来る…かな? と考えた。
そして何よりも、自分の今の年齢でどういう本がお気に入りだったのかを残しておきたい。そんな思いで出来たリストです。
10年後、20年後の私がこれを見てどう思うのか楽しみだ。たぶん羞恥心で死んでしまう。
45冊リスト*2
No | 名称 | 著者 | 出版 | ISBN |
---|---|---|---|---|
1 | ファスト&スロー(上) | ダニエル・カーネマン | ハヤカワ・ノンフィクション文庫 | 9784150504106 |
1 | ファスト&スロー(下) | ダニエル・カーネマン | ハヤカワ・ノンフィクション文庫 | 9784150504113 |
2 | 性欲の科学 なぜ男は「素人」に興奮し、女は「男同士」に萌えるのか | オギ・オーガス,サイ・ガダム | CCCメディアハウス | 9784484121031 |
3 | 人格改造マニュアル | 鶴見済 | 太田出版 | 9784872333091 |
4 | 自衛隊最強の部隊へ-偵察・潜入・サバイバル編 | 二見龍 | 誠文堂新光社 | 9784416519080 |
5 | セックスと恋愛の経済学 | マリナ・アドシェイド | 東洋経済新報社 | 9784492314524 |
6 | 影響力の武器[第三版] | ロバート・B・チャルディーニ | 誠信書房 | 9784414304220 |
7 | アイデアのヒント | ジャック フォスター | CCCメディアハウス | 9784484031019 |
8 | 読書は1冊のノートにまとめなさい[完全版] | 奥野宣之 | ダイヤモンド社 | 9784478022016 |
9 | PSYCHO-PASS サイコパス(下) | 深見真 | マックガーデン | 9784800001412 |
9 | PSYCHO-PASS サイコパス(上) | 深見真 | マックガーデン | 9784800001023 |
10 | 灼眼のシャナ | 高橋弥七郎 | 電撃文庫 | 9784840222181 |
11 | 天才美少女生徒会長が教える民主主義のぶっ壊し方 | 天王寺狐徹 | 講談社ラノベ文庫 | 9784065178751 |
12 | か「」く「」し「」ご「」と「 | 住野よる | 新潮文庫 | 9784101023519 |
13 | 境界線上のホライゾン4下 | 川上稔 | 電撃文庫 | 9784048708074 |
14 | 化物語〈上〉 | 西尾維新 | 講談社文庫 | 9784062836029 |
15 | バカとテストと召喚獣7 | 井上堅二 | ファミ通文庫 | 9784047261952 |
16 | この素晴らしい世界に祝福を!16 脱走女神、ゴーホーム! | 暁なつめ | スニーカー文庫 | 9784041085202 |
17 | ソードアート・オンライン8 アーリー・アンド・レイト | 川原礫 | 電撃文庫 | 9784048707336 |
18 | オーバーロード(9) 破軍の魔法詠唱者 | 丸山くがね | 角川文庫 | 9784047304734 |
19 | エンダーのゲーム〔新訳版〕(上) | オースン・スコット・カード | ハヤカワ文庫SF | 9784150119270 |
19 | エンダーのゲーム〔新訳版〕(下) | オースン・スコット・カード | ハヤカワ文庫SF | 9784150119287 |
20 | BEATLESS 上 | 長谷敏司 | 角川文庫 | 9784041065839 |
20 | BEATLESS 下 | 長谷敏司 | 角川文庫 | 9784041065822 |
21 | 月は無慈悲な夜の女王 | ロバート・A. ハインライン | ハヤカワ文庫SF | 9784150117481 |
22 | パプリカ | 筒井康隆 | 新潮文庫 | 9784101171401 |
23 | 動物農場〔新訳版〕 | ジョージ・オーウェル | ハヤカワepi文庫 | 9784151200878 |
24 | 南極点のピアピア動画 | 野尻抱介 | ハヤカワ文庫JA | 9784150310585 |
25 | ハーモニー(新装版) | 伊藤計劃 | ハヤカワ文庫JA | 9784150311667 |
26 | All You Need Is Kill | 桜坂洋 | 集英社スーパーダッシュ文庫 | 9784087033199 |
27 | 夏への扉 | ロバート・A・ハインライン | ハヤカワ文庫SF | 9784150103453 |
28 | 幼年期の終わり | アーサー・C・クラーク | 光文社古典新訳文庫 | 9784334751449 |
29 | 老人と宇宙 | ジョン・スコルジ― | ハヤカワ文庫SF | 9784150116002 |
30 | 時砂の王 | 小川一水 | ハヤカワ文庫JA | 9784150309046 |
31 | 冷たい方程式―SFマガジン・ベスト1 | トム・ゴドウィン | ハヤカワ文庫SF | 9784150103804 |
32 | ハローサマー、グッドバイ | マイクル・コーニイ | 河出文庫 | 9784309463087 |
33 | たんぽぽ娘 | ロバート・F・ヤング | 河出文庫 | 9784309464053 |
34 | ガニメデの優しい巨人 | ジェイムズ P.ホーガン | 創元SF文庫 | 9784488663025 |
35 | know | 野崎まど | ハヤカワ文庫JA | 9784150311216 |
36 | ボーズ・ミーツ・ガール 1 住職は異世界で破戒する | 鵜狩 三善 | レジェンドノベルズ | 9784065170243 |
37 | 人生論 | トルストイ | 新潮文庫 | 9784102060179 |
38 | 君主論 新版 | マキアヴェリ | 中公文庫 | 9784122065468 |
39 | そして誰もいなくなった | アガサ・クリスティー | ハヤカワ文庫 | 9784151310805 |
40 | 十角館の殺人〈新装改訂版〉 | 綾辻行人 | 講談社文庫 | 9784062758574 |
41 | 「世界征服」は可能か? | 岡田斗司夫 | ちくまプリマー新書 | 9784480687623 |
42 | モテたいわけではないのだが ガツガツしない男子のための恋愛入門 | トイアンナ | 文庫ぎんが堂 | 9784781671680 |
43 | 読書について | アルトゥール ショーペンハウアー | 光文社古典新訳文庫 | 9784334752712 |
44 | 「昔はよかった病」 | パオロ・マッツァリーノ | 新潮新書 | 9784106106262 |
45 | ノットアクターズ | ルシエド | ハーメルン | URL |
感想
思い出とか選定理由とかおすすめしたいところ等。
裁断したものは本の表紙も付けて紹介している。無いものは図書館や人から借りて読んでいた気がする。そのうち買って更新したい所存。
ビジネス書編
人の本棚がビジネス書ばかりだと残念に感じてしまうけど、それはそれとして参考になるのもある…かもしれない。
ファスト&スロー
行動経済学の大御所による本!
ページをめくるたびに、脳みそって勘違いしやすいなぁ!と学ぶことが出来る。
一番面白かったのは、エキスパートになるために必要な条件。
・予測できる規則性を持った環境であること
・長期間にわたる訓練を通じてそうした規則性を学ぶ機会があること
の二つが満たせる場合のみらしい。そうじゃない場合*3は脳がもっともらしい結論を出して安心させるだけなので、あまり信用しすぎないように! ということらしい。
うーん規則性も無いから分からんなぁ、とりあえずこんな感じじゃない? と答える脳を想像したらChat-GPT君のこともバカに出来ませんね。脳の質悪いところはそれが自覚的でさえないところ。
大変面白い本だけど、唯一の欠点は本の細さに反してものすごく中身が濃いこと。
訳された本は大体そうですが、これでもかというくらい知識と例えと分析と考察が詰め込まれているので読みがいがある。ゆっくり読んでいってね!
性欲の科学
「最近なに読んでいるの?」「性欲の科学です」と女性の先輩に答えたのはまずかったかもしれない。日本では暗黙のタブーになっている印象がある性科学の話。
性癖ってやっぱり青少年時代に作られるらしい。イギリスとケニアでは熟女の検索が多いけどその理由は、イギリスでは青少年時代に合う女性が寮母さんなこと、ケニアでは少年時代に親と離れて祖父母と過ごすから…だとか。
同人誌天国である日本ではどんな性癖パラダイスになっているんでしょうね。絶対領域の黄金比まで測る「HENTAI」国家として扱われている日本特集もお願いしたい。
男性と女性で見る部分が違ったり、どういう状況で興奮するのかなども分析されていて大変知的好奇心を満足させてくれる本だった。保健体育の教科書にしましょう。
マルチに入って抜けた後に買った本。脳みそって簡単に騙せるなぁ!と学ぶことのできる。
性格もテンションも要は脳のドーパミンや思い込みによって起こるのだから、それらを変えてしまえばいいらしい。その手段はクスリでもいいし、酒でもいいし、催眠でもいいし、サイコセラピーでもいい。何よりも自分が変わってハッピーになるのが一番だよね。
性格を変えたい! という人がいたらすごく勧めてみたい本。
今どき、自分を意識して変えるもんじゃないですよ。自然科学の力でほいっと変えちゃいましょう。マルチも同じ方法(セミナー等)を用いる場合があるのでご注意あれ。
自衛隊最強の部隊へ -偵察・潜入・サバイバル編-
これが真のエキスパートですよ…と言いたいぐらいプロのスカウトによる訓練を本にしたもの。
見つかったら死ぬからということで、肌は黒く塗るし、靴は足跡が付きにくいものにするし、という徹底具合。常に意識してそれを保つ。いつも磨き続けるというプロの姿勢を垣間見た気がした。
スキルの訓練したプロフェッショナルとは…が見られるので好きな本。どこを開いても学べることしかない。TRPGで隠密系ロールプレイはぜひ読みなおしたい。
セックスと恋愛の経済学
違うんです、いつもこういう本を読んでいるわけでは無いんですよ。でも読んでいて面白いので勧めたい。
恋愛のコストとは、愛は金で買えるのか…などを経済学の観点から研究した本。こうして読むと、結婚って大変そうですね。
一番学びになったのはなぜ少子化になるのかという分析。その昔は労働集約型の産業が多かったため、大事なのは人の数だった。だから子供を増やせばその分お金が手に入る。
現在は知識集約型の産業社会になっている。そのため、多く稼ごうと思ったら、少数の子供にリソースを注ぎ込んで質を上げる方がいい。だから少子化になる…とのこと。
そもそも婚姻率の低下とかもあるだろうけど、なるほどね…と勉強になった。
影響力の武器
人って流されやすいなぁ! と言うことが学べる本。私は人の行動を説明する行動経済学・行動心理学が好きです。
人に「うん」と言わせるために使えるのは返報性、一貫性、社会的証明、好意、権威、希少性の7つ。これらを上手く使うことで、人の行動を望む方に動かしやすくなるらしい。
営業のお兄さんが来た時、この話は一貫性、ここは返報性を狙っているなぁ…と考えながら話を聞くことが出来ているので、一番生活に役立っているビジネス書かもしれない。知ってても断るのが心苦しいのでこのパワーはなかなか強い。
お勧めしてくれた先輩ありがとう。今はどこで何をしているんだろうか。
アイデアのヒント
広告代理店に勤めていた筆者が、アイデアを出すために必要な心構えと手段をリストで教えてくれる本。
「子どもに戻ろう」「もっと楽しもう」「数を出そう」など、いわれてみれば…という項目ばかりではあるが、困ったときに開いていたりする。
「子供っぽいよね」と言われたら「精神年齢は14歳のつもりです」と答えるようになったのもこの本によるもの。4歳ぐらいの精神で世界を見たいなぁ!!
「眉間にシワ、腕を組む!? それじゃムリ!ムリ!~♪」*4というわけらしい。
読書ノートは1冊のノートにまとめなさい
大学に入って一番最初に借りて読んだ本。
過去に読んだ本は何も覚えていなくて寂しいな…と思って手に取った記憶がある。
読書ノートに入れておきたい内容は次の3点です。
書いた日付、本のタイトル、著者名。
上記の3点に加えて、次の2点を記録しておきます。
自分にとって重要な記述、その文章に対しての自分の感想。
他にもいろいろと書いてあった気がするけど、大事なことはシンプルにこれだった。
大学時代に読んだ本のリストが手元に残っているのはこの本おかげかな。ありがとうと言いたいし、実践した自分も偉い。
ラノベ編
高校時代は本当によく読んでいた。
布教したかったので学校のロッカーにはラノベしか入っていませんでした。
アニメ原作のノベライズ版。
これは本が良かったというよりも思い出補整が強い。ウマが合う友人の一人ではいつもビジネス系の話題しか話さないけど、サイコパスだけはお互い好きなアニメのため盛り上がった。そして、誕生日にこの本をくれたため、それで思い出深く残っている…。
最初はぺーぺーの新人だったのに、だんだんと逞しくなっていく朱ちゃんは素敵です。
「法が人を守るんじゃない 人が法を守るんです」
という言葉は一番印象に残っていて好き。法律は共同幻想なんだから、各自が意識して守ることが大事なんだと解釈している。
行き過ぎて”警察”になるのは何か違うと思うけど。
灼眼のシャナ 1
私をラノベ沼に落とした元凶。1冊読んでみたらとても面白く、毎日学校の図書館に行って3冊ずつ借りていた思い出。
「ガリレオ」「プラチナデータ」などのミステリーばかり読んでいた私にとって、現代+異能力戦闘はとても刺激に満ちたファンタジー世界だったのでしょう。
現代ファンタジーかつラブコメラノベの金字塔とも言うべき作品だと思っているので、ラノベのおすすめで聞かれたらとりあえず挙げたい。
一番好きな能力はなぜか「ジシュカの丘」なんですよね。敵を倒す技術的な能力が多い中、戦術級かつ防御的な要塞を出す能力に魅力を感じたのだと思う。
天才美少女生徒会長が教える民主主義のぶっ壊し方
ラノベかと聞かれたら怪しいけど、ラノベ文庫から出ているので…。
民主主義は勝手に壊れるという主張の上で、その理由を段階を追って説明していく本。憲法は幻想だよ! という話から始まるので朱ちゃんの発言などが理解しやすくなるかもしれない。
国が腐敗しないようにするためにはトップと国の利益を一緒にすればいい。だから独裁制が一番だよ! という話にはうなずけるものがあり、超人がいるのならもう独裁制でいいのではと思う人になった。
か「」く「」し「」ご「」と「
すっぺぇ、甘酸っぺぇすれ違い恋愛小説。登場人物5人がそろぞれ人の心が”なんとなく分かる”能力を持っていてすれ違う話。
みんなハッピーになる甘い甘い話。砂糖大さじレベルだと思っていたらばバケツサイズ…だったかもしれない。
最後の
「どうぞ末永くお幸せに!」to 男性主人公
「鈍すぎるんだよ、バカ! 」 to 女性主人公
というそれぞれに宛てた3人目の言葉がとても好き。
まだ人に見せられる表紙でよかった。
はい、大好き。厚すぎて人にはおすすめできないけど、一番好きなライトのノベル。
世界史と日本史のネタを合わせながら、それぞれ個性あるキャラクター達が世界と戦って和解して地球を救う話。本編だけで全29巻、総ページ数が25,318P*5になります…。
4巻下はカッコつけの姉属性大好き竜人が嫁ゲットする話。馬鹿でかっこいい竜人と、冷静系お姉さんの掛け合いはその後の巻でも途切れることなく大好きです。
そう、格好いいのだ。格好いいものは強い。当たり前ではないか。
強いから諦める必要もない。たまに負けてもちょいミスだ。 P385 l12
馬鹿と姉と両腕と同人作家がセッションする7巻下も好きだし、主人公勢が再起する10巻下も好き。時間しかない高校時代に読めたのは幸せだった。
化物語〈上〉
最初にこの本を読んだのはいつだっただろうか。
この人はストーリーもそうだけど、言葉で遊ぶのが好きなんだろうなぁと思った記憶がある。
テンポの良い掛け合いと、個性強めのキャラクター。西尾維新さんのもとで、くるくると表情を変えて話が進んでいく様はとても読んでいて楽しかった。
「言葉の暴力って知ってるか」
「じゃあ言葉の警察呼びなさいよ」
何を食べたらこの掛け合いが出来るようになるんのだろうか…?
この後もシリーズは続きますが、化物語が一番好き。最も自由に心の赴くままに言葉で遊んでいる気がする。
表紙は英訳版より拝借。元の絵も好きだけど、Vofanさん覚醒のような図のこちらがもっと好きです。
こちらはネタで笑わせてくれるラブコメラノベ。何度笑って何度読み返したことか。
ギャグばかりでもなく、日常パート⇒ギャグパート⇒しっかり締める真面目パートと展開が1巻で進むのも良かったポイントだったのかな。
7巻はエロ本を没収されたことから始まる体育祭イベント。
普通に他クラスとの対抗戦⇒因縁の3-A戦、トラブルと対先生戦(ここまでギャグパート)⇒雄二復活とドラマが多い。
昼食と3-Aで数々の体調不良者を出した正ヒロインには尊敬の念を禁じえない。まだ指向性がある暴力系ヒロインよりも、天然で自覚なく惨状を生み出すヒロインが一番怖い。
葉賀ユイさんの素敵で可愛いイラストも好き。
男友達の企んでいる様子とヒロインの可愛さがどちらも出ているため、バカテスで一番好きな挿絵かもしれない。
この素晴らしい世界に祝福を!16 脱走女神、ゴーホーム!
異世界転生系コメディドラマ、変人パーティーによる苦労と大活躍をご覧あれ!
大体ノリはバカテスと同じ。序盤のカエルにも勝てないパーティーが魔王には勝ってしまう。ノリ良くテンポ良くたまに締める楽しい作品です。
どの巻も面白くて好きだけど、1番を選ぶなら16巻。魔力の都合上1日1回しか呪文を撃てないポンコツ魔法使いが主人公カズマの贈り物によって最強になる話。
バカにされ、からかわれ続けながらも最強を夢見たポンコツ魔導士は
その日、本当に世界最強の名を手に入れた。
ロマン型の極致、こんな展開を俺は待っていたんだ! といえるものを見せてもらった。
前半のアクシズ教団とのやりとりもギャグ調で好き。世界の敵ではないけど、世間の敵はあの人たちではなかろうか…。
ソードアート・オンライン8 アーリー・アンド・レイト
言わずと知れたSAO、その8巻。一区切りついて平和になった世界でシンプルにクエストをこなす話、ビーターと言われた男の最初の話、アスナとキリトが共同で推理っぽいことをする話。
お姫様たちは幸せに暮らしました…という終わりもいいけど、その後の後日談もみたくなりますよね。そんな楽しい世界を見せてもらえるのがキャリバー編。エクスカリバー求めて、パーティー組んで冒険だぁ!
気心のしれた仲間たちと異世界に飛び込み、困難かつスリリングなミッションに挑む。それ以上に楽しいことなど、そうそうあろうはずもない。
本当にそうだと思う。ゲームで命をかけて嫁が攫われたのを助けて、銃の世界でスキルを上げて平和な世界へ帰ってきたキリト兄さんの話が読める。
「心の中で私のことを思い出してね」という爆弾セリフと併せてとても印象に残っている話だった。
次に選ぶなら、デスゲームの不安感とボーイミーツガールの甘酸っぱさと俺TUEEEと全て味わえる1巻が好き。
オーバーロード(9) 破軍の魔法詠唱者
あるMMORPGのギルド長がギルド基地ごと異世界転生してきて世界征服を目指してしまう話。アンデッドである主人公が血も涙もない様な手段で世界征服していく「ダーク系異世界ファンタジー」という表現が合う気がする。
9巻は盛大に王国と戦う話、の中でも好きなのは村が王国軍に襲われているところ。
「エンリ将軍閣下が配下、ゴブリン重装甲歩兵団! -この程度の攻撃では止められぬと知れ!!-」 助けてくれる無敵のアインズ様も離れているし、誰がこの村を守るんだ…と思ったら思わぬ伏兵だった。
ファンタジーで最弱レベルとして扱われるあのゴブリンさんですよ? まさかこんな強くなってやってくるとは思わないじゃないですか。
初見の時には「ハァー!?」と言いながらもニヤニヤして読んだ記憶がある。
これを読んでいるとソードワールド等のファンタジー系TRPGで遊びたくなる。人の中二心を再萌芽させる魔法の本です。
我が魔法の力を知れ! とか言いながら「メテオストライク!」と唱えたい。
SF編
大学時代で読んだ本の半分以上はSF。いろんな物語の下地になっていることが分かるようになったので、「若いうちに読んでおいた方がいいよ」と勧めてくれた親戚には感謝しかない。
エンダーのゲーム〔新訳版〕
紹介いりますか? SF好きで読んでない人はいないでしょと断言出来そうなぐらいの本。心優しき殺し屋エンダーが厳しい訓練を経て異星生物と戦う話。
上巻は一度しか読んでいませんが、下巻は何度も読み返している。
エンダーが指導者になって苦悩しつつも部下を鍛えあげるシーンは同情するし、それによって成長し逞しくなった部下を見ると拍手したくなる。
さらに過酷に猛烈に追いつめられるエンダーは気の毒ですが、それでも彼ならやってくれる…と信じてついつい読み続けてしまうんですよね。子供を持ったことが無いのに親の気分。
一番好きなシーンはやっぱりドラゴン隊の快進撃。
常識を即座に打ち破って新しい戦法と試すエンダー指揮官の活躍は見ていて楽しいものです。海兵隊が「指導者の条件とは」が学べるとして推薦図書リストに載せたというのも頷けるんだよなぁ。
Chat-GPTが話題になり始めた時、この作品を連想する方もいらっしゃったとか。
人間とロボットのボーイミーツガール。愛は超えて成り立つのか…という話かな。
”ハック”されて機械に間違った感情を抱いているだけだ! という意見もあるし、いやいやこれは俺の素直で大事な感情よという意見も出てくる。
まぁそんなことはさておき、強くて可憐で可愛く賢いロボットがいるなら心惹かれちゃうよね! 私は好き!! とずっと思いながら楽しく読んだ。
SF作品の好きなところは物語としてカタルシスを得るところもあるけど、それに加えてこんな世界あったらいいよね…と大いに味わえるところだと考えている。こんな未来はもちろんWelcomeです。
世界を敵に回しても釣り合う”未来”を彼女は見つけたのよ。世界一賢い女が、身を捨てて上がった舞台になんか手を出したら、あなた鉄くずじゃすまないわよ。(下)P381
”分かっている”という相棒っぽいセリフ良いよね!! 友達でも親友でもなくとも理解しあっていて”戦友”という雰囲気がして素敵。
2年前の感想*6でも同じセリフ選んでらぁ。
初めてみたときはまぁ分厚さに驚いた。読み始めたらその世界観に驚いた。本を閉じた時には、もう終わってしまったのかと驚いた。
人工知能、技術者、女性活動家、知識人爺ちゃんという特技も性格も違う4人が、月で革命を成功させるまでの物語。
これはブルアカの話なのですが、ミカのガチャが「君は無邪気な夜の女王」と名付けられたのはこれが元ネタですよね!
じゃあセイアは天才のように見透かすマイクで、ナギサは実際動くマヌエル、動くワイオミングはミカで、教授は"先生"のことかな?
マイクが最後沈黙するように、セイアも力を失ったたのか…? だとしたら制作部には濃厚なハインラインファンがいるなぁ…。
パプリカ
友人と一番盛り上がったのは、「夢を夢と分かるような描写力が一番すごいよね」…という話。あの奇想天外で驚天動地で波乱万丈で一寸光陰の「夢」を言語で規定して表現したというところを尊敬している。
この本で次に好きな文章は解説。本編は面白かったなぁと終わるところを、二重構造として解説して考察しているのは美味しいデザートだった。
パプリカ=男に都合の良いキャラと指摘するところまで良い。私は好きなキャラです。
動物農場〔新訳版〕
オーウェル大先生、皮肉が効いた風刺文学ですねぇ!
人間を追い出した農場の動物たちは、豚同士でいがみ合いが始まり片方がもう片方を追い出して特権階級となる。そして自分の好きなように掟を作り、まずくなったら仮想敵を作って対応する…と。
動物で例えながらも、権力って怖いなぁと教えてくれる物語。おうおう、これが腐敗していく姿かと笑いながら見ていた。
全ての動物は平等である。
だが一部の動物は他よりもっと平等である。
どうしてこうなっちまったんだよぉ…。
南極点のピアピア動画
以前読んだ際は幸せと未来への楽しさが溢れた良いSF本…とか言ってたけどその世界が一部実現しそうでびっくりですね。あんなに知性がある風にしゃべるミク*7が登場することになるとは…。
基本的にノリとテンションで駆け抜けるサブカルチャー系SF。黄金期を過ぎていたとはいえニコニコ動画で育った世代としては、なかなかに楽しい本だった。
いつの間にか本棚から旅に出ていたようで裁断データがなかった。買い直そう。
ハーモニー
同じ作者の虐殺器官も好き。どっちかと言われたらこっちを選ぶ。そんな作品。
優しい世界、ストレスもない社会で生きる人間達の話…だった気がする。
この人の作品で好きなのは考えさせられる哲学的なセリフがたまに出てくること
善ってなんだと思う? (中略)良いこと、善っていうのは突き詰めれば、「ある何かの価値観を存続させる」ための意思
なるほど? 「平和な世界にする」という意思のことを善と呼ぶのかな? 平和な状態であることを善と呼ぶわけでは無いのか…などと感じた記憶がある。
糖尿病は、人類の進化の一部なのだ。P325
前後の文脈は残っていないが、そんな考え方もあるのかと驚いた気がする。
こういうところに作者の考えが現れている気がして好きです。買って確認しなおします。
平凡だったはずの少年がボーイミーツガールして最強になる話。
主人公の悩みと大成長、そして最後の選択…とどこを選んでも良いシーンばかり。
訓練を繰り返して強くなったエキスパートと言われる人々に憧れる質なので、ループで訓練と実践を繰り返して強くなるケージ君のシーンが一番好きです。
必要なのは学んで実践だけなんだな…と腑に落ちた気がする。
「ジャパンのレストランのグリーンティーはたしかに無料だ」
一度は言ってみたいセリフですね。問題は使うために私が国外に出なければいけないことなんですが…。
王道SF。SFのおすすめを聞かれたら黙って差し出すしかない本ですよ。解説する必要ないですよね?
時間旅行という使い古されたようなネタですが、変わる舞台とそれに適応してなんとかして生きる道をつかむ主人公の活躍を楽しく読ませてもらった思い出。
寝る前に読み始めたら楽しくて朝になってた。
僕らの友情は、リッキィの6つのときからこうしてお互いの個性と尊厳とを認めあうデリカシィの上に培われていたのである。
相手を見くびることなく、奢ることなく、子供に対しても対等な関係を気づいているのは素晴らしい…と思ってメモした気がする文章。人を尊敬できなくなったら終わりですねぇ。
これも王道傑作SF。SFのおすすめ聞かれたらこれを差し出しますよ。
ある日地球にやってきた宇宙人と、出会った地球人が共存しつつも少しずつ変化していく話。宇宙人に飼われる地球人…と言えるでしょう。
1章2章3章とそれぞれ別のシーンになりますが、それが良い転調となって楽しく読み進めることが出来る。
知力も科学力も上位の存在に対して人間が翻弄されながらも行動する様子を見ているのは楽しい。「次はどうするんだろうか、これから何が起こるんだろうか」…とドキドキした気持ちで終始読んでいた気がする。
人間が受け身なスポンジに ー吸収するだけで何も生み出さないスポンジに成り下がろうとしているのも不思議はありません。P273 l7
宇宙人にもインプット偏重じゃだめだよ…と諭されるとは。
老人と宇宙
ジョン・スコルジ―最高! SFのおすすめ(以下略。
75歳のお爺ちゃんが宇宙防衛軍に入って第三の生を生きる話。
テンポよく人は死に、ユーモアは面白く、異星種族エイリアンたちのそれぞれの描写…とどれをとっても表現力の高さに驚かされます。
後の感想は私の過去文章を引用しましょう。
読んでいると、人間はやっぱりひ弱で小さな存在であるんだと思い知らされる。同じく宇宙生命体と対峙するクトゥルフをプレイするときにこういう感情は役立ちそうなので、クトゥルフプレイヤーはぜひ読むべき。
オイボレ団の絆とそれに対する戦争のむごさが際立っていて、悲しい気持ちが引き立つところがとても良い。後半の活躍ストーリーは前半の悲しさを吹き飛ばす勢いなので、かなりの気持ちよさを味わえて楽しい。途中までエイリアンの強さを歯がゆく感じるだけに、なおさらスカッとする。途中のオイボレ団が順番に死んでいく死に様シーンも印象に残って、ストーリーを強く覚えている作品だった。
主人公が変わった2巻もおすすめ。人が相変わらずあっけなく死ぬ
時砂の王
時間遡行して戦う知性体が邪馬台国で決戦をする話。
これまた面白くて、読み始めたら朝になっていた。
最初は未来からやってきたオーヴィルに当然感情移入はしませんが、決戦の途中に差し込まれていく回想シーンを経るごとに「オーヴィルゥゥゥ生きろぉぉ!!」という気持ちが込み上げていた気がする。
そして最後の声を上げる卑弥呼のシーンですよ。いやもうカッコいいとしか表現のしようがないよ。
良いボーイミーツガールでした。
冷たい方程式―SFマガジン・ベスト1
ベストと名付けてあるだけあって、どれも面白い短編集。
印象に残ったのは表題作冷たい方程式。燃料ギリギリの船に密航してしまった少女とそのパイロットが苦悩する話。どうして、安全マージンを取らなかったのですか…!
わたしは死ぬようなことはしていないわーー死ぬようなことはなんにもーー
悲痛な叫びですね。宇宙環境という極限環境の残酷さと冷たい方程式の無慈悲さが際立つ作品ですね。ハッピーな未来を書くSFもあるけど、これはこれ…。
「たった一つの冴えたやり方」と同じく考えさせられるものがある。
悲しい作品ではあるけど、印象に残ったという意味で好きな話です。
「接触汚染」は皆が同じ顔になってしまう絵面を想像するとシュールで面白い。
実際になったらたまったもんじゃないですけどね!!
ハローサマー、グッドバイ
氷河期が訪れそうな地球で、その変化に翻弄される人類の話。
翻弄される大人たちを見つつも、甘酸っぱい三角関係っぽいものを築き上げる少年少女たちの姿は可愛らしいものですね。
終盤は人間の醜さに見ていられなかったけれども、思わぬどんでん返しでひっくり返った。一読した時にはどういう意味か分かっていなかった。
全体的に読みやすく、面白かったです。
だいじなのは、お話の裏に込められた意味なんだよ、ドローヴ少年。お話ってのはある目的があって語られるもので、その語られ方にもやっぱり目的がある。
お話がほんとかそうでないかなんてのは、どうでもいいことなんだ。それを忘れるなよ。 P36 l15
言葉のまま受け取るな…ということでしょうか。物語の登場人物にこのセリフを言わせるのかぁ…と思ってメモした記憶がある。
これまた恋愛SF。ボーイミーツガールを集めた短編。何よりも表題作が好き!!
ある山で会った二人が結婚して今の夫婦になっていたというタイムトラベルもの。主人公も驚いていたが、お嬢さんよく飛んだな。
ネタが夏への扉の逆になってるので、向こうが好きならこの作品も好きになるのは必然だったのかもしれない。読みやすく、楽しい作品でした。
「おとといは兎を見たわ、きのうは鹿、今日はあなた」
楽しそうに話しているジュリー嬢が浮かぶ浮かぶ。
「知識が女性にとって無用の長物どころか、魅力の欠かせない一部であることを証明した」という文も好きです。
前作に「星を継ぐもの」があり、そこで謎の知性体となっていたガニメアンがとうとうやってきて交流を深めるお話。
前回解ききった! と思われた謎はひっくり返り、さらに別の結論を導く。ここまで想定のしての2段構えだったんですか先生…! と質問したいほどの流れで本当に面白かった。
本編に出てくるゾラックと言うスーパーコンピュータも好きです。案内人と教師と相談役、それに茶飲み友達を兼ねる存在だなんて素敵じゃないですか。
当時読んだ時は遠い未来を夢想したけれども、今では冗談でも夢でもなくなってきた。GPT君が段々とその位置を占めてしていくのかもしれない。
know
情報が価値を持つ社会で、それに疑問を感じる男性と全てを知りたいと思う天才の女の子が旅する話。
ラノベのような読みやすさで、”情報とは”を問うSFだった。”死は情報のブラックホール化である”なんてどういう思考の果てに出てくるのでしょうかね。
話自体も好きだが、この本で一番印象に残っているのは有主照の生き方。「この道は自分は到達できない」と感じたからこそ開発環境を整えて、自分が体感できるようにした…という生き方に感銘を受けた気がする。そういう人生もあるのか…と。
ボーズ・ミーツ・ガール 1 住職は異世界で破戒する
話としてはラノベのような気もするけど、挿絵が無いのでSFに分類。
オショウさんの勢いと当て字に終始笑っていた小説。
「
そういう意味じゃないでしょ!!
全ての敵を肉体言語一つで片づけていくオショウさんは脳筋過ぎて素敵。
ブリーチで例えるなら剣八ポジションです。
オショウ様とお付き合いしていくうえで大切な、ふたつの心構えをお伝えしますわね
世の中諦めが肝心と言うこと。それから、人間難にだって慣れるということ。以上ですわ。
ヒロインが笑顔で説明するのも分かりますね。
その他(新書等)編
新書だけでくくるにはちょっと違うよなぁ…ということでまとめられた余り枠。
ジャンルごちゃまぜです。
人生論
「人生」というよりは「生命について」「愛について」論じた本でした。イメージとは違ったけど、これはこれで面白かったのでヨシ。
個人の幸福を追い求めた場合、その人が死んだら終わり。誰も満たされず幸せにならない終わりを迎える。だから人のために尽くすことの出来ることが真の愛…であるとのこと。
要するに自分が死んでも巡り巡って子孫までみんなハッピーになるから、他人に良いことしようね! と言いたいのだと解釈している。
友人のために生命を賭すような愛のほかに愛は存在しない。
真の愛は大変だなぁ…と思っていたら、ふと100カノの愛情恋太郎が思い浮かんだ。彼女のためなら三千里でも歩きそうで、谷に落ちても救いに飛び込みそうな彼の行いこそが真の愛なのでしょう…。
君主論 新版
ビジネス書みたいな扱いをされているのを見るが、「愛読書は君主論です」という上司がいたら3歩引くと思う。でも学ぶことが多い。
人間は、恐れている人より、愛情をかけてくれる人を、容赦なく傷つけるものである。
ごもっともですね! と納得した文章。君主としてはとても正しいことを申し上げているけど、そこまでストレートに言って良いものなのかな! と思わないでもない。
鷹揚よりもケチであることの方が良く、人の金で奢って恩を売り、愛されるよりも恐れられるようにしなさいと説く姿は、悪魔のように頭に角でも生えているんじゃないだろうかと感じる。
好ましい軍の形について述べている前半の章も好きです。
- 傭兵軍。平時は金取り、有事は逃げるか消え去る
- 外国支援軍。勝ったらさらに依存することになり、負けたら滅びる。
- 混成軍。上2つに比べたらはるかにまし。
- 自国軍。頼れる。一番良い。
結局自分で力を持っていないと舐められて負けるということですね。
そして誰もいなくなった
ミステリー界の伝説、アガサ・クリスティーさんの作品!
孤島に集まった10人の男女。船が消えて1週間出られない状況で1人ずつ死んでいく…。島に誰一人いなくなったとき、あなたは犯人の正体を知る…! という紹介になるでしょうか。
登場人物たちの動き、心情、シーンが目まぐるしく動き、一晩で一気に読み切れてしまう小説。この本を読むときには夜更かししても問題ない日にしてから読みましょう。
クリスティーさんの魔法に魅せられてさらにほかの本も読みたくなってしまった。
十角館の殺人〈新装改訂版〉
上の作品をオマージュした(?) ミステリ作品。
孤島にある十角館に集まったミステリ研究会のメンバー、一人また一人と殺されていく状況になり最後は館ごと消失する。いったい犯人は…? となるミステリ。
本格ミステリと言われる理由も良く分かる。トリックがとても凝っているというよりは、話の構成で見せていく点がとても面白い。
真犯人が分かったとき、一瞬「へ?」とアホの声を上げてしまった。言われてみれば納得? 再度読み直したくなるよいミステリです。
一晩で読んでしまうとても面白い小説だった。
同じ作者様の作品では「迷路館の殺人」も好き。
読書について
読書について悩んでいる人に投げたい本。歯に衣着せぬストレートな物言いは、納得させられると同時に不思議な笑みが浮かんできます。
(出版された本の)九割は金のために書かれた悪書であると指摘した人って今までいなかったでしょう。
本を読んでいるだけでは駄目で、自分の思考にとって使いやすいロードマップを手に入れることが出来るという主張は面白く、単なる多読だけでは駄目だということを分かりやすく教えてくれた。
悪書は知性を毒し、精神を損なう。
良書を読むための条件は 悪書を読まないことだ。なにしろ人生は短く、時間とエネルギーには限りがあるのだから。P146 l2
追っていたとある方が亡くなられた直後に読んだのもあって、とても印象に残っていた文。気づいたら人間あっという間に死ぬんだろうな…と最近ひしひしと感じている。
偉大なる人物の思想より、今日の浅薄な脳みその人間の繰り出す底の浅い退屈なおしゃべりの方が読者と似た者同士で居心地がいいからだ。P147 l7
ここまで強烈に批判するんですか…。前後の文脈的には古文を論じる解説書ではなく、その原本を読みなさいという主張でした。この文を読んでから解説書は読まなくなった気がする。
「世界征服」は可能か?
世界征服をする目的から実現したらどうなるのかまで。数々の物語などから推測した本。だれしも一度は考えかもしれない"世界征服"という行為の面倒さについて知ることができます。
まず大事なのは目的、世界征服したい! だけでは駄目で人類を絶滅させたいのか、お金が欲しいのか…等を定めなければいけない。世界征服はあくまで手段ということですね。そして自分の支配者タイプを知り、世界征服の手順も考えていく。
そして必要なのは理念、資金、設備、武器に人材。悪の組織のメンバーなんだからモラルは低いし、大々的に宣伝して募集もかけづらい。こんなに苦労するくらいならもう真面目に会社立てた方が早いじゃん…と思えるような状況になっても諦めないことが大事。
強い意思を持って進み、大々的に動き出した途端に”正義の味方”が出てきて止めてくる…なんてハードルが高い野望なんだ。
一度は夢見た行為でも、真面目に考えると費用対効果悪すぎるなぁ…ということをこれでもかというほど教えてもらえるありがたい本です。
電車で忍び笑いしつつ読んでいた思い出がある。
モテたいわけではないのだが ガツガツしない男子のための恋愛入門
恋愛強者に「彼女作るためにはどうしたらいいですか?」と聞いたら「沢山話しかければいいんだよ」と返事が返ってくる。それが出来たら苦労しねぇ! と内心キレたことがある人にオススメしたい本。何を隠そう私のことです。
大事なのは年収でも筋力でもなく、最低限のファッションと不快にさせないコミュニケーションと安定したメンタル。このために何が必要なのかということを順序だてて教えてくれるのでわかりやすいです。
筆者自身もオタクだからか、オタク男性にも配慮した本になっているのも良いポイント。ガチオタクは知らない人に布教を繰り返せばプレゼン能力が上がるらしいので、
それでコミュニケーション力を上げていきましょう。
恋愛以外で面白かったのはクソリプ分類表。不謹慎審判、論点ずらし、懸賞マニア、常識濫用者…など、”クソリプ”ってこんなに多いのかと参考になった。
発言パターンを押さえて気を付けたいところですねー。すぐに自分を語り始める『近所の語り』が一番要注意かな。
「昔はよかった病」
もういいかげん、「古き良き」という枕詞を使うのをやめてもらえませんか?
そんな言葉から始まる楽しい新書。
人間は記憶を捏造しがちだし、日本人は同調圧力をかけがちなイメージを私は思っている。当たり前だと考えていたこと、やっぱりおかしくない? と一つずつ見ていくのは楽しい体験だった。これが本で見識を広げるということかな。
儀式やゲン担ぎを懸命にやって”安心”しがちです。安心は安全であることを保障しないのです。安全の実現のためには安心することは許されません。
安心と安全は両立しないのか…と感じて一番印象に残っている。安心は慢心。
ノットアクターズ
これは今までと毛色が違い、演劇漫画「アクタージュ」の二次創作小説。
これスピンオフ小説かと納得しそうになるほどの出来だったで好きです。
英二君という公式にいないモノづくりの天才と、それに関わるヒロインの気持ちを描いた作品。漫画も良いですが、やはり小説になると心理描写が多くなってきて楽しいですね。千世子ちゃんの内面は公式ではほぼ出てこなかった印象があるので、ここで妄想としても補完が出来て美味しい…。
作者の多様な特撮系の知識と表現力が混ざり合っているため、好奇心を刺激されつつも楽しく読むことができる。「技術は他分野と混ぜると壁の突破が生まれやすいんですよ」と本編で言われているけど、これこそ作者様のことでは?
作品を作る要。
けれど、作者に非ず。
演劇の舞台になくてはならない存在。
けれど、演者に非ず。
彼らがいなければ何も表現することはできない。
けれど、表現者に非ず。
小道具、大道具、舞台作り、衣装作成。その者達、
演者に非ず 。
言葉のセンス突き抜けていますよね。
終わりに
物事は気軽に始めるものじゃない。卒論より多い文章書くとは思ってもいなかった。
それでもまだ45冊です。私の今の読書量では100冊も紹介する本は選べなかったため、後半は10年後の自分に託すことにしましょう。書くのに数時間はかかるから頑張ってくれ。
ここまで読んで下さった方がいるならば2回転ジャンプ土下座くらいでお礼を言いたい。お付き合いいただきありがとうございました。
やっぱり読書は最高の趣味です。